「南北経済協力の本格化に備えよ」
文大統領は5月31日午後、青瓦台(大統領府)で主宰した国家財政戦略会議の冒頭発言で「南北および米朝関係が改善され、朝鮮半島に平和が定着する場合、我々の経済に大きな変化が来るだろう」とした。
その上で、「南北経済協力が本格化する場合に備え、朝鮮半島の新経済地図を支えるための役割と準備についても前もって検討する必要がある」と述べた。
「朝鮮半島の新経済地図」構想を履行するためには、莫大な予算が必要であるという点から、財政を確保するための方案を構築することが必須となる。
さらに予算執行のためには、「板門店宣言」を法制化する手続きが先行しなければならないという点で、(これを可能にする)国会の批准に向けた意志を再確認するものと見られる。
「H」型の開発
経済協力が平和定着に寄与し、平和がふたたび経済協力を促進する好循環構造を通じ、「平和経済」を実現するというのが文大統領の認識だ。
「板門店宣言」の1条6項には以下の項目がある。
「南と北は民族経済の均衡的な発展と共同繁栄を実現するために、「10.4宣言」で合意した事業を積極的に推進していき、一次的に東海線および京義線鉄道と道路を連結し現代化させ、活用するために実践的な対策を行っていくことにした」
[全訳] 「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」
https://www.thekoreanpolitics.com/news/articleView.html?idxno=993
下図にあるように、新経済地図は、朝鮮半島を「H」型に開発するというもの。文大統領の公約の一つであると同時に、昨年11月に発表された「文在寅政権の朝鮮半島政策」の目玉でもある。
文大統領は4月27日の南北首脳会談当日、午後に金正恩委員長と二人きりで散策した際に、新経済地図の具体的な構想のデータが入ったUSBメモリを金委員長に手渡し、話題になった。
6月1日の南北高官級会談に鉄道部門の幹部が出席
南北はまた、6月1日に板門店宣言以降、はじめての南北高官級会談を行い、南北間の鉄道・道路連結事業の推進方案などを協議する。南側の代表団にはキム・ジョンリョル国土交通部第2次官が含まれる一方、北側もキム・ユンヒョク鉄道省副相が代表団に入った。
鉄道の場合、ソウルと北朝鮮を結ぶ京義線と釜山(プサン)、金剛山(クムガンサン)、羅津(ラジン)をつなぐ東海線がある。この線は北側の東海北部線と、南側の東海南武線に分かれる。
2007年5月、京義線の汶山(ムンサン)〜開城(ケソン)駅、東海線の金剛山〜猪津(チェジン)駅区間で試験運転を一度行ったあと、貨物列車の定期運行が始まった。しかし翌年、李明博(イ・ミョンバク)政権が発足するや中止となった。
専門家たちは優先的に、北朝鮮の老朽化した鉄道を改修するためだけに2000億ウォン(約200億円)がかかるものと見ている。さらにその後、時速100キロの速度で連結・復元する作業までは3兆5000億ウォン(約3500億円)程度の予算が追加で必要だとしている。
国会は難航
こうした天文学的な予算を執行するためには、「板門店宣言」を国会で批准することが何よりも必要だ。
こうした点を念頭に、文大統領は4月30日に主宰した首席秘書官・補佐官会議で「『南北関係発展に関する法律』が定めた南北合意書締結・批准公布の手続きを早くに始めて欲しい」と指示し、国会の超党的な支持を求める対策を求めた。
なお、韓国の国会では手続きが難航している。
現在、与野党間で批准は6月の米朝首脳会談後に行うことで合意している。その上でまず「支持決議案」を採択しようとしたが、与野党間でCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)の明記をめぐる異見や、他の法案との駆け引きがあり、5月28日の上程自体が見送られ、今後の見通しは不透明なままだ。
(ソウル=ニューシス、編集・翻訳:本紙編集部)

